銅蟲(どうちゅう)細工は、今より三百数十年前、藩主浅野侯がお抱え職人の清氏に創案させた技法で、銅板を鍛えて火鉢、やかん、花瓶等を作り、広島藩の特産品として諸大名に寄贈し、非常に好評を得たのが始まりです。
銅蟲製品の特長は、黒茶玉虫古色の着色にあります。広島伝統の色付けは、稲藁(いなわら)で燻(いぶ)すことにより、他に類を見ない広島独特(全国唯一の本燻し)の黒茶色の玉虫古色となり、銅蟲の秘法とされているものです。
又「銅蟲」という名は浅野長晟侯が清氏の仕事に対する熱意を賞でて「銅」の「虫」、即ち「銅蟲」「銅虫」と云う称号を授けたといわれています。
銅蟲製品は、年月と共に、光沢、あじわいを増し独特の風合が出て来るのを茶人、雅人等に愛され、広島の伝統工芸品として記念品や贈答品、特に県外や外国へのみやげ品として好評を得ております。
銅蟲器の手入は、乾いた柔らかい布で擦り良くふき込みをすれば自然に上品な色沢を帯びてまいります。
酸類、油、洗剤にて擦ることは避けて下さい。